「そんなに怒らないで、落ち着いて」
「俺も疲れてるんだよ」
産後の妻に何気なく言った一言がきっかけで、大喧嘩になってしまった…。そんな経験はありませんか?
普段はシゴデキで信頼されている、あなた。
部下や取引先に気を遣って、言葉を選んでいるはずなのに、家ではなぜかうまくいかない。悪気はないのに、なぜか妻を怒らせてしまう。
実は、産後の妻は心身ともに限界ギリギリです。ちょっとした一言が、思っている以上に大きなダメージを与えてしまうことがあります。
今回は、特に 「仕事ができるビジネスマンが言いがち」 なNGワードを紹介します。つい口にしてしまいそうな言葉がないか、チェックしてみてください。
産後の女性は、体も心もフル稼働状態。ホルモンの変化、寝不足、体力の消耗など、想像以上に大変です。「俺の仕事の方が大変なんだよ」と思うかもしれませんが、それは 「24時間ずっと体調悪い中で全力疾走しているようなもの」 だからです。
実際に、産後のホルモンバランスの変化が心身に与える影響について、宮城県の公式ウェブサイトで短く解説されています。大切なパートナーの状態を知るためにも、一度さっと読んでみると良いかもしれません。
産後のこころの健康(宮城県公式ウェブサイト)

妻「赤ちゃんが泣いてる、手伝って!」
夫「ちょっと待って、今やってることの優先順位を考えようよ」
仕事では「優先順位を考える」ことは大事ですが、家庭ではそうはいきません。産後の妻にとって、「赤ちゃんのお世話」は最優先事項。
それを後回しにされると、「私の大変さをわかってくれていない」と感じることも。
「今いく!なにか必要なものある?」
「わかった!俺が抱っこするから、少し休んでて」
「優先順位」ではなく、「すぐに行動する」ことが大事です。
残業やリモートワークをしていても即いきましょう。
中長期目線では短期の損得は捨てましょう。少ししたら分かってくれます、大変なときこそ辛抱強く。

妻「家事とかもう少し手伝ってほしいんだけど」
夫「もう少し具体的に言ってよ」
仕事では「指示は具体的に」が基本ですが、家庭では逆効果になることも。産後の妻は、細かく指示を出す余裕がありません。むしろ、「何も言わなくても気づいて動いてほしい」と思っています。
「OK!今まず皿洗うね、他の家事の方がいい?」
「この時間には仕事に区切りつくはずだから洗濯たたむね」
「察する力」を発揮することで、妻の負担を減らせます。
分からなくてもまず提案しましょう。
仮説を持って提案すれば次に進むのは仕事で経験済ですよね。

妻「赤ちゃんが寝たらすぐに家事しないと…」
夫「それって効率悪くない?先に休んだほうがいいんじゃない?」
仕事では「効率化」が求められますが、家庭では「気持ち」が優先されることが多いです。産後の妻は、「今やらないと、いつできるかわからない」という不安を抱えています。それを「非効率」と言われると、否定された気持ちになってしまいます。
「赤ちゃん寝てる間に掃除機できないよね、朝起きたら俺が掃除するね」
「この時期ごはん作るの大変だよね、夜泣き落ち着くまで夜はお弁当買ってくるね」
「効率」ではなく、「妻の気持ち」を尊重することが大切です。
すぐに肯定できればいいのですが、できないときは自分で仕組化・効率化しましょう。
効率化のリソースがないなら外部調達になりますよね。

妻「もうイヤ!」
夫「え、なんでそんなに怒ってるの?落ち着いて」
これを言われて、冷静になれる人はほぼいません。むしろ「わかってないのか…」と、怒りが倍増する可能性大です。産後の妻は、ホルモンバランスの変化や寝不足でストレスが溜まりやすい状態。そこに「なんで?」と質問されると、「説明する気力もない」と余計にイライラしてしまいます。
「・・・今俺に何ができるかな」
「ごめん、やっぱり俺が家のことできてないからだよね」
「理由を聞く」のではなく、「矛先を自分に向ける」ことが大切です。
なだめるよりは、まずは怒りを自分に向けて自分で解決しましょう。
感情的なときは、具体的な提案をするよりオープンに意見を募りましょう。

妻「寝不足でしんどい…」
夫「俺だって疲れてるよ」
これは、完全に 「地雷発言」 です。夫が仕事で疲れているのは事実ですが、それを今言う必要があるでしょうか? 妻は「共感してほしい」だけなのに、比べるような発言をされると、気持ちをわかってもらえないと感じてしまいます。
「そうだよね、疲れてるよね。まだワンオペしたことないから今週末は半日俺が家事と育児やってもいい?」
「お疲れさま。今日の夜は俺が家事と育児に全部の時間を使うから、明日はちょっと朝ゆっくりさせて」
「競い合う」のではなく、「互いに負荷を下げる」ことを意識しましょう。
一時的に夫ががんばって妻が楽になれば、翌日は少し休めるはずです。
他社とプロジェクトをする時、互いに補い合うように負荷分散することがあるように家庭でも支え合いましょう。
「俺だって疲れてるんだよ」という言葉、産後の妻にとってはかなりキツイ一言です。産後うつ や 産後クライシス(夫婦関係の悪化) につながる可能性もあります。実は、産後うつは 10〜15%の女性が経験する と言われていて、決して他人事ではないんです。
産後うつについてもっと知りたい方は、日本うつ病学会の解説をチェックしてみてください。症状や対策などが詳しく書かれています。
産後うつの詳細はこちら(日本うつ病学会)
産後の妻は、心も体もギリギリの状態。求めているのは、「共感やアドバイス」ではなく「圧倒的な実行力」です。
「さっき洗濯まわして、お湯沸かして、加湿器に水いれたよ。あんまり手伝えなくてごめんね。」
「今日もそうだけど食器は毎日19時半に洗うようにするね。これから忙しくなるから21時からは仕事してもいいかな。」
言葉ひとつで、夫婦関係は大きく変わります。
「やばい、もう言ってしまった…」と焦っているあなた。大丈夫じゃないです、まずは謝りましょう。
「ごめんなさい。」
できるビジネスマンは、ミスをしたらすぐにフォローします。それと同じで、家庭でも 「素直に謝る力」 が大切です。
そして、言葉だけでなく、行動で示す ことが大事。家事を手伝う、白湯を入れる、甘いお菓子…なんでも妻のために行動しましょう。
「普通に謝るの?」と思うかもしれませんが、その後が大事。産後の妻にとって一番うれしいのは「行動でのサポート」 です。たとえば、家事や育児を率先してやる、気遣いの言葉をかける、少しでも妻が休める時間を作る… こうした小さな積み重ねが、夫婦の関係をより良くしていきます。
とはいえ、「何をどうすればいいのかわからない…」という人も多いですよね。そんなときは、ファザーリング・ジャパン のサイトを覗いてみるのがおすすめです。パパの育児参加や夫婦関係を良好にするヒントがたくさん載っています!
パパ向け育児サポート情報はこちら(ファザーリング・ジャパン)
また、「育児休業を取るのもアリかも?」と思った方は、厚生労働省のページをチェック。意外と知らない制度やメリットがわかりますよ。
育児休業制度の詳細はこちら(厚生労働省)
産後の妻は、ちょっとした一言で傷ついたり、怒ったりします。でも、それは決して「夫が嫌いになった」わけではありません。
「自分の大変さをわかってほしい(なんとかしてほしい)」
その気持ちに寄り添い行動するだけで、夫婦関係はぐっと良くなります。
仕事ではできるビジネスマンでも、家庭ではつい余計な一言を言ってしまうこともあるはず。だからこそ、「仕事のスキル」を活かして、夫婦関係もうまく回す」 そんな感覚で辛いときでもがんばりましょう。
人間なのだから失敗することもありますよ。